ロミオとジュリエット
序章
Romeo and Juliet
憎んで死んだ ロミオ
愛して死んだ ジュリエット
そんな二人が次の世で会ったならどうなるだろう
ペラペラ...
この本を読むと昔を思い出す。
「ねぇ、ぱぱ。風がね、窓を叩くの。怖くて眠れない」
「そうか。じゃーこっちで一緒にご本読もうか。」
いつも読んでいた、この本。もう古びてしなびてしまっている
昔お父さんはよくこの本を読んでくれてた
暖炉の前に座るお父さんの膝の上はあたたかくてすぐ眠ってしまっていた。
まだすこし涙がでる
お父さんがもういないなんてまだ信じられない
この本を抱いてわたしはまだ泣いてる
「お父さん...」
少し夢を見た。昔の夢。
綺麗な女の人がいる。
何かを抱いて涙を流している。
なにか声をかけようとしたけど、わたしの目からも何かが溢れてる
胸が苦しくて息ができないような
愛おしくて切ない夢
.....
「はぁ...」
あのまま寝てしまったみたい
懐かしいこの本の匂いがまた心を燻る
もう体は起きてしまった
まだ昇りかけの太陽につられてバルコニーにでた
2階のバルコニーから見える景色にまだ少し違和感がある
「綺麗な街...」
古い街だけどレンガ造りの街が並んでるとても綺麗な街並み
まだ悲しみは癒えてない
いまは、叔母の家に引っ越してきた
父の面影が強いあの街にはわたしはまだ帰れない
「もう起きてるの?」
下から声がした。
ティボルトだ。ティボルトは叔母の息子
「おはよう!」
その笑顔にわたしもつられて笑ってしまう
「おはよう!」
悲しみはまだあるけとれどティボルトのお陰でまだ笑えている
だから、わたしはティボルトに感謝している。昔からわたしのことをきにかけてくれる大切な存在
「こんな朝早くからどうしたの?」
「ティボルトのいびきがうるさくてね」
「ごめん、ごめん!」
わたし達はいつもこうやって笑いあっている。
ティボルトの笑顔は暖かさを教えてくれる
すこしやかれた肌に白い歯がのぞいている
太陽みたいな存在。
わたしはいまも昔もあの夢をみると悲しくて切なくなる
でも、すぐにぼんやりとした記憶になってしまっている。
忘れちゃいけないのにもう記憶の片隅においやられてる
もうあんな思いはしたくない
「もうすぐごはんの時間だよ、顔洗っておいで、ジュリエット」
「うん、わかった」
バルコニーを後にして駆け足で洗面台に向った。
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