約束
そのまま、私と船津先輩は
階段を上がって奥の部屋へ急いだ

そして、ある扉の前で船津先輩は
立ち止まる
それから深く深呼吸をした

「大丈夫だ」

私に向かって問いかける先輩
無言で頷くと
手をより強く握り返してくれた

―――コンコン

慎重にドアをノックし
中へ踏み込んでいく船津先輩

「何してるんだ?その女の子は?」

中には船津先輩のお父さんと思われる人が座っていた

「佑香ちゃん以外の女の子を入れてはいけないと言っただろ?」

笑いながら言う船津先輩のお父さん
私が彼女だとは全く思っていないようだ

「父さん、俺、佑香とは結婚できない」

冷静に言い放った船津先輩
声はすこし震えているようにも聞こえる

「どういうことだ?」

鋭い目つきに変わる船津先輩のお父さん

「お前は、佑香ちゃんと結婚する、そういう約束をしただろ?」

「したのは父さんだ!俺はみやびと結婚したい!」

そう言って私を抱きしめてくれた船津先輩
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