この気持ちに名前をつけるなら
「そうじゃなくて!!」
「あ、そういえばまた同じクラスだよ」
「え?」
興奮気味のさおりの気を反らずため、私はクラス表を指差すと、さおりは釣られるようにクラス表へと視線を向けた。
「あ、ホントだ!」
「うん。今年もよろしくね、さおり」
「うん!」
さおりはそういって跳び跳ねて抱き付いてきた。
話題反らしに成功したようである。
「俺も一緒だよ」
そう声を掛けてきたのは、高槻 光太(たかつき こうた)。
私の幼馴染み。
家が近所で、実はほぼ毎日一緒に登校している。
「お、光太。本日も姫の護衛、ご苦労である」
「なんだそりゃ」
さおりが敬礼をすると、光太は笑って答えた。
中学からの馴染みの三人だ。
安心できる。
「そういえば、さおりには言ってなかったけど、私バイト変わったんだ」
三人で教室に向かいながら、私は春休み中のことをさおりに報告する。
「え、どこに?」
「学校の近くにある『メロウ』っていう洋食屋さん」
「えー!そこ気になってたー!!絶対食べに行くー!!」
「ハンバーグとパフェが美味しいらしいよ」
「素敵!」