この気持ちに名前をつけるなら
いままでは家の近くのコンビニだった。
コンビニも悪くはないけど、洋食屋さんというのに惹かれた。
料理も覚えられるし、賄いも出る。
何より、時給が50円も高い!!
『メロウ』は私も少し気になっていて、アルバイトの募集の貼り紙をたまたま見つけたのがつい最近。
大学生以上となっていたが、ダメ元で問い合わせてみるとマスターがとてもいい人で、新学期の今日から働かせてもらえることになったのだ。
よーし。頑張るぞー!!
「って、違うじゃん!」
働く気満々で気合いを入れていると、さおりがさっきの話を思い出したようだ。
「違う違う!一子!そんなバリバリ働いてたら高校生活なんてすぐ終わっちゃうんだから!」
「時間は皆一緒でしょ?」
「そうだけど。バイトしかしてませんなんて、後から絶対後悔しちゃうんだから」
「そうかなぁ」
「そうだよ!バイトもいいけど、高校生らしい生活もちゃんとする!」
「例えば?」
「例えば……」
顎を上げて誇らしげに胸を張る。
「恋とかね」
さおりは人差し指を立ててウインクをした。