この気持ちに名前をつけるなら
「私たちと回ろうか」
「え、」
さおりの意外な誘いに、坂下はさすがに顔を上げる。
一方さおりは、指を組んだ手の上に顎を乗せ、ニッコリと笑っている。
「さおり、ちょっと……、」
私は用意したプリンアラモードをさおりの前に置くと、坂下の表情を見て私はおおいに同情した。
女子が苦手なんだってば。
「だって、私たち三人っていっても、光太が男子一人じゃさすがに可哀想でしょ?」
「確かにそうだけど……」
それはこっちの都合であって、坂下は関係ない。
せめて男子だけのグループに置いてあげた方がいい。
ウチはウチで、他の誰かを誘えば良いわけだし。
「坂下、別に断ってもいいから」
「あ、一子は嫌だった?」
「え?」
さおりは手の上に顎を乗せたまま、キョトンと首を傾ける。
「嫌じゃないけど……」
「じゃあいいじゃん」
いや、よくはない。
主に坂下が。
「ねぇ、坂下。他に一緒に回る人なんているの?」
「……お前何企んでる?」
「え?」
坂下がうんざりした表情で背もたれに寄り掛かり、さおりと向き合う。
え、企んでる?
な、なんの話?