この気持ちに名前をつけるなら





恋って言ってもね。



私は内心溜め息を吐いた。

HR中である。


恋だの愛だの、私には全くわからない。

故に興味もない。

ついでにそんな余裕もない。

金銭的にも、時間的にも。

私は恋愛不適合者に違いない。


うーむ。

さおりには申し訳ないけど、頑張って恋ができるものだとも思えない。

まぁ、高校生活を楽しむというのは、頑張ってみよう。

すぐに修学旅行もある。

お金がかかるのにバイトも休まないといけないから、本当は行きたくないけど。

お母さんにもさおりにも光太にも怒られそうだから行くことにするけど。

そうだな。

そういうことを、もっと楽しまないといけないのかもしれない。

高校生でしかできないんだから。

そういう当たり前のことを、どうしても私は後回しにしてしまう。

さおりや光太がいなかったら本当に何もかもやらないままになってしまいそうだ。



今年の目標。

高校生活を楽しむ。



これだ。



カラオケの誘いもいつも断ってごめんね、さおり。

それでも見捨てずにいてくれてありがとう。


メロウに来たときにアイスを奢ってあげよう。


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