この気持ちに名前をつけるなら
坂下は不思議そうな表情をする。
私は、はぁ、と深く溜め息をついた。
「それ、本当に病気になっちゃうよ」
私は坂下の許可を得て冷蔵庫を開けてみた。
「……何も入ってない……」
言葉の通り、本当に何も入ってない。
入ってるものと言えば炭酸水、ミネラルウォーター、チョコレート、醤油、マヨネーズ、ドレッシング、何故かパンとサバの缶詰、目薬まで入っている。
冷凍庫には氷、アイスのみ。
なんていうか、もう、むしろどうしてこの部屋に冷蔵庫があるのかというくらい何も入っていない。
「一応言い訳させてもらうけど、その日に食べきれるものじゃないと腐らせちゃうから」
「それにしたって……」
何も無さすぎる。
「……本当に外でしか食べないんだね……」
よくこんなんで一人暮らししてる。
食には拘りありそうなのになぁ。
「よし、」
私は胸を張った。
「何か食べたいものとかある?」
「え?」
「何か作って帰る!」
「……いや、そこまでは」
「駄目!私が心配すぎるよ!」
幸い今日はご飯も作ってきたし、家のことは特に心配ない。
坂下がこんな偏った食事をしている方が大問題だ。