この気持ちに名前をつけるなら
「そういえば、光太、明日大会だ」
私は気持ちを切り替えて、光太の話をする。
光太が前に言っていた大会。
団体戦の次鋒としてレギュラーで出ることに決まっていた。
今頃は厳しい稽古に汗を流しているだろう。
「なんで高校は大会が平日なんだろうね」
「応援に行きたかった?」
「勿論。もうしばらく柔道する光太なんて観てないもん」
さおりは注文したキャラメルマキアートをストローで飲みながら、中学時代の柔道をする光太を思い出すように視線を宙に向ける。
「確かにあの光太はめちゃくちゃかっこいいもんね」
「うん!」
私は自分のことでもないのに、何故か誇らしい気持ちで頷いた。
「……ねぇ、一子?」
「うん?」
さおりはキャラメルマキアートをストローでかき混ぜながら私を見つめる。
「一子はさぁ、光太のこと、どう思ってるの?」
「え?」
ゆっくりと、私の反応を確認するように話して、それからストローに口をつけた。
「どうって……?」