この気持ちに名前をつけるなら
私はお土産屋さんの小屋の影を見つけて、そこで息をついた。
日陰にさえ入れば風はまだ少し涼しい。
皆が楽しそうにしているのを改めて眺めて、なんだかホッと笑みが漏れている自分に気付いた。
剣二に見られたら間違いなくおばさん臭いと言われてしまうだろう。
それでも、皆が楽しいと私は本当に満足なのだ。
本当に、心の底からそう思う。
「何ニヤニヤしてんだよ」
「ひゃっ!」
声と共に、何か冷たいものが頭に乗せられた。
びっくりして声の方を向くと、光太が私の頭に乗せられたらしい冷たい濡れたタオルを持っていた。
落としそうなそのタオルを、もう一度私の頭に乗せられた。
「冷たい」
「乗せとけ」
光太はそう言って、まだ蓋も空いてないスポーツドリンクを差し出した。
「戻って来てくれたの?」
光太がもう一本のスポーツドリンクを開け、ボトルを煽った。
500のペットボトルの半分を減らし、あつい、と呟いた。
「大丈夫か?」
「平気だよ。ごめんね、心配させて」
「それはいいけど」
濡れたタオルがひんやり気持ちいい。