この気持ちに名前をつけるなら
「ご注文はお決まりですか?」
私は練習がてら、さおりに注文を取りにいった。
「店員さん、オススメはなんですか?」
さおりも、ノッてくれる。
「ハンバーグが人気です」
「ハンバーグかぁ。サラダのドレッシングはなんですか?」
「えーと、」
「答えられないんですか、店員さん」
「確認してきますので、少々お待ちいただけますか?」
「すぐに答えられないなんてけしからーん!」
さおりはふざけて怒ったポーズをとってみせた。
「ふっ、」
「ふふふ、」
二人で顔を見合わせて笑った。
出来上がったハンバーグは本当に美味しそうで、さおりも大満足だった。
そういえば何も食べてない私にも、マスターが特別に作ってくれた。
レストランのバイト、最高です!
「一子の友達で、仁科 さおりです」
さおりは会計を済ませ、マスター、華澄さん、利也さんに自己紹介することを忘れなかった。
「一子は誰よりも頑張り屋なので、よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる。
「また来ます!」と可愛く手を振って、店を出ていった。