この気持ちに名前をつけるなら
「私たちが学校生活を一緒に送れるのはあと二年しかないから、私は当たり前のように思い出を沢山作るつもりでいたけど、でも、それは光太にしても、他の子にしても同じことなんだよね」
私の思い出のために潰れる思い出があるのかな。
皆身体はひとつしかなくて、時間も有限で、全てが思い通りに行かなくて。
「そうだとしても!」
ブス、とさおりの人差し指が私の鼻に突き刺さった。
薄々気付き始めたけど、さおりの不機嫌な理由は、もしかして私だろうか。
「それを一子が勝手に決めるなんておこがましいと思わない?」
「……、」
目の前にあるさおりの眉間が、深い。
「例えば私が光太を好きだとしても、それで一子に遠慮されてお二人でどうぞなんてセッティングされたら、馬鹿にしないで!って思うわ。
私が好きなんだから貴女は遠慮してって思う人もいるかもしれないけど、私はそうじゃない。人によって違うのよ。
しかもそれは光太が望むことではないかもしれない」
なるほど。
突き刺さった指を通り越して、さおりの見る。