この気持ちに名前をつけるなら
「プラトニックって本当にあるんだな」
「うるさいな。黙れよ」
ニヤニヤと笑う坂下に光太が枕を投げ飛ばすと、坂下はそれを難なくキャッチする。
「好きな人と想像とかしないの?」
「そうぞ……はぁ?!」
言葉の意味をワンテンポ遅れて理解した光太が声を上げると、坂下はまた声を出して笑った。
「馬鹿、やめろそういうの、マジで!」
「別に普通だろ。健全な男子なんだし」
真っ赤になった光太が面白くて、受けた枕を顔面に投げ返す。
これは光太に当たり、光太は堪えきれず立ち上がって坂下に飛び掛かると、バッチリと間接技を決めた。
ギブギブ、と笑いながら参ったのサインをする坂下から退けると、光太は両手で顔を覆って屈み込むと、坂下はまた笑った。
「一途で童貞ならいいじゃん」
「くそ、お前こそどうなんだよ!」
「俺は中2で卒業した」
「…………、」
売り言葉に買い言葉。
勢いで聞いたことがサラリと返され、光太は一瞬フリーズした。
「ち、中2?」
「まぁ、年上と付き合ってたし」