この気持ちに名前をつけるなら
光太の顔は赤くなったり青くなったり。
また吹き出す坂下に、光太はまた枕を投げた。
「実際マジな話、いくら幼馴染みでも好きなら触りたいとか考えないの?」
「……、」
「あんな近くにいて何にも思わないなら高槻不能じゃないのかと心配になるよ」
「……、」
光太はからかう坂下を見て、それから視線を落とした。
「楽になっちゃえば?」
ニヤリと意地悪く笑う坂下とは対照的に、光太はどこか寂しそうに笑った。
「いや、いいんだ。そういうのは」
「なんで」
「いいの」
「何が」
「そういうのは考えないようにしてるから、あんまり触れないで」
「賢者だな」
坂下は笑うのをピタリと辞めた。
「それは野上のためなの?」
問いを聞いた光太の穏やかな横顔に、坂下は溜め息を吐き出す。
「ホントすごい徹底した過保護だな」
「なんとでも言え」
坂下が時計を見ると、まだ21時を過ぎたばかりだった。
さすがに寝るにはまた早い。
備え付けの冷蔵庫からお茶を取り出して、喉を潤す。
「高槻はなんか飲む?」
「ん、」