この気持ちに名前をつけるなら
「それ、例えば高槻じゃなく、別の誰かと付き合うことになっても祝福できる?」
「何回も考えたよ」
光太の言葉に、坂下はまた小さく笑った。
「一子が自分のために選んだ人なら、仕方ないかな」
光太の視線は、どこか遠くを見ていた。
坂下が苦笑する。
「まぁ、その時になってみないとわかんないけどな。一子が誰かと付き合うのなんて全然想像つかないし」
光太も照れ臭そうに笑った。
「いいな、高槻のそういうところ」
どこか満足そうな坂下の顔を見る光太。
「俺、この学校で余計な友達を作る気なかったけど、高槻のことすごい好きになった」
「……それは、どうも」
「高槻の価値観、尊敬する」
言うと、坂下はペットボトルのお茶を乾杯するように掲げた。
札幌で買ってきたお菓子も空けて光太に振る舞う。
光太はビックリしつつも、坂下と距離が縮まったことを素直に喜んだ。
「年上の彼女なんていたんだな」
「ん?」
「女子は苦手だって一子に聞いたから」
「……、」