この気持ちに名前をつけるなら


一瞬動きを止めた坂下は、すぐに笑顔を作る。



「昔ね。もう別れたよ」

「……わり」

「全然。何人か付き合ってたうちの一人だし。でももう女は要らないな。疲れるから」

「何気にすごい発言だな、それ」

「聞きたい?高槻にはちょっと刺激的かもしれないけど」

「……いや、遠慮しとく」

「さっき考えたくないって言ってたけど、要は考えたい前提の話だろ。いざというときに勉強になるよ?
ブラのホックの外し方とか聞いとかなくていい?」

「ばっ……!またその話……っ、」



二人の距離が縮まったその夜。

坂下の申し出に散々逃げ回った光太だったが、布団に入っても結局眠れない夜を過ごすことになるのだった。








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