この気持ちに名前をつけるなら


「光太とずいぶん仲良くなったのね」



さおりが意外そうに言った。



「ていうか、俺が一方的に高槻のことを気に入っちゃっただけ」



坂下はそう言ってまたニッコリと笑うと、「班行動だから俺が連れてくる」と光太を連れ戻しに行ってくれた。

坂下は光太に肩を組んで何か話して、光太は怒ったように何か言い返している。

坂下はやっぱり上機嫌で爆笑しながら、光太を連れてきた。



「どんだけ仲良くなったの」



さおりが不審気に突っ込んだ。





研修は終始坂下と光太、私とさおりのペアで歩いた。

写真も撮ったし話しもしたけど、やっぱり光太はどこかよそよそしかった。

光太が坂下と盛り上がっていたせいもある。

せっかく四人で楽しもうと思ったのに、すごく味気ない研修になってしまった。





ホテルに戻ってきても、なんだか気持ちが浮かない。

私はひとり、風に当たるために外に出た。

ホテルから出てすぐのところに植え込みの縁に腰を下ろして大きく息を吐き出す。


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