血の記憶





それからはぼーっとした毎日を過ごした。

そろそろ学校に行こうと思い立ったのは、菜央が死んで一週間後のことだった。


学校に行けば少しは立ち直れる


そんな思いで行った学校は最悪だった。


立ち直れる?


そんな訳ないだろ


だってあっちこっちに菜央がいるんだ。


菜央が体育をしていたグラウンド

菜央が歩いていた廊下

菜央を好きになった桜の木の下

教室には菜央が使っていた机と椅子


前と違うのはその机の上に花が置かれていること。


そしてその椅子には誰も座ることはないのだということ。


そうだよ、これが現実だ。


信じたくなくても信じれなくても、これだけが真実なんだ。



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