血の記憶




《ふざけんなよっ、なにしてたんだよ!》


《だまれ、俺の言うこと聞いてればいいんだよ!》



ごめんなさい、ごめんなさい。



《うちの奈央と別れてくれ》



やめて、お願い。



《……分かりました。でもその代わり》



やめて!



「ぉ、奈央!」



目を開けた。


それと同時に映り込むさらさらした金髪の翔真の顔。


その顔はなぜか悲しそうに歪んでいた。



「…あれ、私寝てたの?」


「気を失ってたんだよ、体育の途中でね。寝不足だって先生が言ってたよ」


「そう。今何時?」


「もう五時間目だよ、奈央ずっと寝てたから。皆は今授業」



まだ重い身体をゆっくり起こしながら聞いていた翔真の言葉に違和感を感じる。


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