血の記憶




「……ねぇ奈央、最近様子が変だよ?奈央がおかしくなったのって親父にあった日からだよね」



苦しそうに絞り出された翔真の声に更にうつむく。



「奈央聞いて欲しくなさそうだったから今まで黙ってたけど…こんなになるまで頼ってくれないの?俺たちってそんなに信用できない…?」



頼る?


そんなことできない


頼った結果が最悪の事態を招いたんだ。


もう誰も巻き込みたくない


巻き込めない。


俯いたままなにも言わない私に呆れたのかため息を一つついて翔真は保健室のドアの方へと歩いていった。



「…これだけ覚えてて。奈央が辛そうだと俺たちも辛いんだってこと」



その言葉を残し翔真は保健室から出ていった。


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