血の記憶
それからの会話は覚えていない。
頭にあったのは二週間後、彼が出所するということ。
どうやって長居さんとの通話を終わらしたかは、どんな話をしたかは分からなかった。
気づいたら私はある紙を片手にどこかに電話をかけていた。
《―――はい》
「…香坂です」
《え、な、奈央!?》
慌てた様子ででてきたのは翔真。
その声になぜか安心した。
私がもっているのは翔真のケータイの番号が書かれている紙。
《え、奈央学校は?》
「今日は休んだの」
《あ、そうなんだ。俺もだよ奈央は具合悪いの?》
「ううん、大丈夫。翔真はどーせサボリでしょ?」
《あ、ばれた………ねぇ奈央なにかあったの?》