血の記憶




翔真が来たのはちょうど卵でケチャップライスをくるんだときだった。


ピンポーンという明るいチャイムが部屋に鳴り響く。


玄関に駆け寄り鍵をあけドアを開く。


そこには走ってきたのか息を切らした翔真の姿。



「…そんなに急がなくても良かったのに」



翔真の家から私の家まで歩いたら多分25分はかかるはずだ。


その距離を10分ぐらいで来たのだから相当疲れているだろう。



「いや、だって嬉しくて」



翔真が笑顔で言った言葉の意味が分からず首を傾げる。



「意味が分からない……とにかく中に入って」



私の言葉になぜか落ち込む翔真を中に入るように促すとお邪魔します、とキョロキョロ落ち着かない様子。



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