血の記憶
「翔真お昼、食べた?」
「ううん、まだだよ…なんかいい匂いがするけど奈央はもう食べたの?」
スンスン匂いを嗅ぐ翔真はまるで犬みたいだ。
そんなことを思いながら翔真をリビングに通す。
テーブルの上にはお皿に乗った少し不格好なオムライスが2つ。
少し小さめのは私でもう一つの大きめのオムライスは翔真用。
「翔真オムライス好き?」
「うん…え、これまさか俺の!?」
切れ長の綺麗な瞳をまん丸にして驚く翔真に頷いてみせた。
すると目を輝かせ嬉しそうな顔をする。
…どうしよう、料理苦手とか言えなくなった。
席について行儀良くいただきますと言ってからスプーンを手に取る翔真。
「ちょ、ちょっと待って。私が先に食べる」
そう言うなりスプーンにオムライスをすくって口に運んだ。
ま、まずい…。
「翔真ごめん、美味しくないから食べなくていいよ」