血の記憶

ごちそうさまと私が手を合わせたのと同時に私の前に座っている翔真もスプーンを置いた。


…全部食べてくれてる。


なんかちょっと照れる。



「ごちそうさまでした。ありがとねお昼作ってくれて」


「別についでだから」



そっけなく言いながら食べ終わったお皿をキッチンに持っていく。


ほんとはお礼を言うのは私の方なの。


今日私が食べれたのは多分翔真のおかげだと思う。


いつも一人で食べるご飯は美味しくなくてでも今日は食べきるほど美味しかった。



「そういえば奈央って他の料理作れるの？」



食器を水につけて戻ってきた私に投げからけられた質問に言葉が詰まった。


他の料理……。



「そんなに作ったことないから分かんない」