血の記憶
『なぁ、なんでそんなに苦しそうに寝るんだよ』
ゆらゆらと遠くで誰かの声がする。
『少しは頼れよ』
この声……――――。
翔真?
『そんなに信用できないのか』
瞼をあげた。
いつの間にか寝ていたみたいで視界がぼやける。
段々クリアになる景色には翔真、その後ろの空は赤く染まっていた。
「………今喋ってたのって翔真?」
「だったらなんだよ、関係ないだろ」
その言葉に胸が鋭く傷んだ。
こっちに背を向けて屋上から立ち去ろうとする翔真の袖を思わず掴む。
それに気づいたのか翔真が振り返った。
その瞳は冷たく
「なにがしたいんだよ、初めに突き放したのはそっちの方だ」
でてきた言葉は拒絶で
私の中のなにかが
壊れた音がした。