血の記憶
座りこんでいる私の目の前にいつの間にか来ていた翔真を思わず見上げた。
そこには夕日に照らされキラキラ輝く金髪よりも眩しい笑顔を浮かべた翔真がいた。
それがあまりにも綺麗で私は息をとめていた。
「頼って、俺を……俺たちを。今奈央が俺にぶつけてきたときみたいに」
「…でも」
あまりにも簡単に翔真は頼ってっていうけど
私は知ってる
私が抱えているものを人に預けて潰れてしまった人達のこと。
「そんなの負担を相手にかけるのと同じことじゃない」
そう言った私の顔を翔真の手が優しく包みこんで俯こうとしていた私を引き止める。
「違うよ、頼るってことは信用するってこと。自分が持っているものを人に預けるんだから」
そう翔真が言うと同時に身体がグイッと引っ張り上げられ立ち上がる。
気づいたら私の身体は翔真の腕に包み込まれていて
翔真の片腕が私の頭を翔真の胸に抱えこむ。