血の記憶
え?
ボソッとこぼした独り言に応えた声に驚き振り返る
そこには予想通りの顔。
「おっはよー、奈央!」
朝から眩しい笑顔を振り撒く翔真。
「おはよ」
元気だな、なんて思いながらも挨拶を返すとなぜか翔真が目を丸くした。
なにしてんの?
「翔真……?早く学校行かないと」
「え、あ、うん」
いつまで経っても固まっている翔真の肩を軽く叩くとやっと我に返ったのか歩きだす。
歩いて学校に向かう間も私の顔をチラチラ覗き込む。
なんなのよ、いつにも増して変なんだけど。