血の記憶
結局教室に着いたのは
翔真 祐樹 香奈
…………私。
「奈央、運動不足なんじゃないのー?」
「そうそう、一番初めに走りだしたのになんで一番後ろになるかな」
香奈と翔真が私をバカにしてるのはよく分かったわ。
私が軽く二人を睨みつけていると慌てた様子で祐樹がフォローしてくるけど
正直全くフォローになってない。
結局私はその後もバカにされ続けムッスーとした顔で席に着くこととなった。
壇上に立って話す先生の声を聞き流しているとなぜか翔真が机を私の方に近づけてくる。
なにごとかと思って翔真を見ればだんだん近づいてくる綺麗な顔。
そして私の手をグイッと引っ張って耳元に口を寄せた。
「奈央が変わったのって俺のおかげ?」
翔真の小さい声のせいなのか少しかすれたその声は私の心臓を跳ねさせるのには十分で
顔に熱がこもっていくのが分かる。