血の記憶





それはあいつが出所するまで後一週間をのこすばかりの月曜日のことだった。




「…………」


ガチャ パタン


「…………」


ガチャ パタン


もうこの行動を何回繰り返しただろうか。



「おはよー、奈央………ってなにしてんの?」


「っ!……おはよう翔真」



突然背後からかけられた声にもう一度開けようとした下駄箱を勢い良くバタンと閉めた。


平静を装って返事をしたけど大丈夫だったかな?


心配になって振り返ると無表情で私の背後の下駄箱を見つめている。



「しょ、翔真?」


「………俺、先行ってるね」



言うなり私に背を向けて教室へと向かった翔真に安心してソッと息をもらした。



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