血の記憶
「いいから来いよ」
腕を掴まれたまま引きずられて向かっているのは倉庫
あまり使うことはなく人がめったにこない場所だ。
このままじゃ危ない
「離してっ……」
なんて思って手をほどこうと引っ張ってみるけど相手は男。
勝てるわけがなくてどんどん倉庫の扉が近づいてくる
いやっ……いやだ!
パニックになりかけた私の頭に翔真の顔が浮かんだ。
とっさにポケットから取り出した携帯
電話したときに登録していた翔真の番号。
でもこのままじゃ電話かけても直ぐにバレる
……一か八かにかけよう。
目の前まで迫った扉
その中の暗闇に私は呑み込まれた―――。