血の記憶
「香坂、お前今日日直だろ?ノート集めて職員室に持ってきてくれ」
「えー…」
じゃあよろしくな、先生は私の不満など聞こえなかったかのように教室から出ていってしまった。
日直って面倒臭い。
渋々みんなからノートを集めると意外にずっしり重い
ヨレヨレ歩きだした私に誰かの影が落ちた。
どうやら前に誰かが立っているみたいだ
ちょ、ちょっと通れないんだけど。
一言文句を言ってやろうと顔をあげた私は口を開いたまま後退りをした。
その拍子にバサバサ、ノートが教室の床に広がって慌てて膝をついてノートを拾い上げようとしたけど、さらに手からこぼれた落ちた。
「大丈夫?意外に香坂ってぬけてるよね」
ノートを差しだす手に思わず肩が揺れた。
拾ってくれた相手は亮くんと付き合う前は仲良くしていた男子
優しいし一緒にいて楽しい友達だったけど今の私には恐怖の対象でしかなかった。
「ひ、拾ってくれてありがとう。じゃあ私これ、持って行かなくちゃいけないから」