血の記憶
あっという間に迎えた放課後はもう既に、はじめの頃のように楽しみなんて気持ちはかけらも残っていなかった。
ただ亮くんの顔色を窺うばかり。
私にとっての放課後の帰り道はなにかの試練のようだった。
今日も何事もなく終わりますように
私の必死の願いは叶えられることはなかった。
「ねぇ今日俺の家に来てよ」
「え……?」
聞き間違いだと思った。
聞き返した私にもう一度亮くんは繰り返す。
「ね、来てよ」
私の意見を聞く気などない
亮くんと繋がれた手が私にそう言うみたいにその力を増した。