血の記憶
始まり
「ね、ねぇ亮くんなんで鍵を閉めたの……?」
「なんでかは奈央が一番分かってるんじゃない?」
振り返った亮くんの顔はあの日と同じで―――。
息をひそめ無言で首を横に振った。
少しでも刺激しないようにと。
「……また隠すの?隠し事はなしって言ったよね?」
私が後ろへと下がる度つめてられていく距離。
だんだんと低くなっていく声に体が震える。
「べ、別に隠してなんてっ……」
「じゃあこれはなに?」
不意に突き出された携帯
その画面に私は息を呑むしかなかった。