血の記憶
「……っ高橋くんは友達なの!話すのぐら……」
それより先を続けることはできなかった
私、今突き飛ばされた…の―――?
激しい衝撃が身体を突き抜ける、その衝撃から遅れて理解して呆然とした。
突き飛ばされたときにどこかにぶつけたのだろうか
頭の中を整理する間もなく痛みだした肩に顔を歪めた。
「ねぇ、奈央の彼氏は誰?」
来ないでよ
「俺だよね?」
私に近づかないで
「っ……ぁ、いたっ」
ギリギリ締め付けられる腕の痛さに抵抗する気力は奪われていく。
ねぇ、誰が悪いの?
耳元でそっと呟いた声に虫酸が走り身じろぎした瞬間さらに腕の力は強まった。
もう既に自分自身の手には血が通っていないのか感覚がなくなっていた。
「……ごめ、なさい」