血の記憶
その途端ガチッとドアノブが堅いものにぶつかる感触。
なんで、なんでなんでなんでっ
ガチガチッ
何度も何度もドアノブを下げては上げてを繰り返す。
「もー、奈央なにしてんの?さっき鍵しめたでしょ。」
背後からの気配に狂ったように動かしていた手がとまった。
スッと私の身体の横から伸びてきた私のものじゃない腕はガチャッと音をたてて鍵を開けた。
解放感からか頬を涙が伝って落ちる。
悪夢のような時間から抜けだした私は自分の家までガクガク震える足を無理やり動かし走った。