血の記憶
それからは誰とも話さないような日々を過ごすようになった。
初めは高橋くんも話しかけてくれたりしてたけど避けるようになった。
やがて高橋くんも私に声をかけてくる回数が減っていきそれに比例して亮くんの機嫌は良くなっていった。
気持ち悪さを押し殺すことにも慣れてきたころ、亮くんの部屋で過ごしていた私はその言葉で固まった。
「ねぇ、奈央キスしていい?」
「え……」
嫌
その感情しかわいてこなかった。
近づいてくるその手にその顔に悲鳴をあげないよう歯を噛み締めた。
手は突き飛ばさないよう制服のスカートを握りしめて。
唇は静かに重なった。