血の記憶
混乱したまま迎えた放課後、私は距離をあけて前を行く亮の背中を睨みつけるようについていく。
今日一日考えてみたけどやっぱりおかしい。
亮があっさり別れてくれるなんて、有り得ない、油断しちゃだめだ。
「じゃあここで待ってて、すぐ持ってくるから」
「うん」
辿り着いた家の前、亮は私を家の中に連れ込むような素振りは全く見せず、一人ドアを開け中に入っていった。
もしかして私の考えすぎ?
あまりに上手く事が運びすぎてて過剰になっていたのかもしれない。
混乱しそうになっていると亮が家から出てきた。
「はい、これ」
「あ、くし。亮の家に忘れてたんだ」
手を伸ばして差し出されるそれを受け取る。
ああ、これで解放されたんだ。
安堵して思わずホッと息をついた。