血の記憶





突っぱねていた手を無理やり畳んだ。


彼は満足げな笑顔を浮かべ再び覆い被さってきた。


初めは軽いキス


それだけでは物足りなくなったのか。



「奈央、口開けて」




誰が言うことを聞くものか


無言で口を引き結んだままの私の髪を強く引っ張る。



「いっ…」


「言うことを聞いたら痛くしないから」



悔しくて涙が滲んだ。


そんな私にお構いなしに彼が再び唇を重ねる。





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