血の記憶






それなのに水面に波紋が広がるようにざわつく私の心。



「奈央さ、過去になんかあっただろ」



その言葉は私を現実に引き戻すには充分で。


前で話してる先生に聞こえないように、小さな声で言ったはずなのに私にとって破壊力は抜群。


私の心臓は一気にドクドクと早鐘を打つ。

手足に血液が廻っていないような感覚。


周りの空気が薄くなったような息苦しさを感じる。



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