血の記憶






「翔真?」



眩しい金髪を風に靡かせ、柵の近くにいたのはあなただった。


名前を呼ばれ振り返ったあなたの頬は涙に濡れていた。



「え、なんでここに奈央が?」



今は私のことよりあなたでしょう?


何を思ってここで涙を流してたの?


誰を想って?



「空が見たくて」



そう答えた私にあなたは自嘲気味に笑って見せた。


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