血の記憶
「そう。タイミング悪いね…、俺が泣いてた理由気になるでしょ?」
「気にならないと言ったら嘘になるぐらいにはね」
一歩一歩こっちに歩んでくる翔真の目を見て言う。
何でだろう?
あなたは存在感があるはずなのにたまに、消えそうなぐらい頼りなげな時もあるの。
私はあなたという人が分からないわ。
「でも………奈央には教えないよ」
ねぇ、気づいてる?
初めに会ったときから時々、私の名前を呼びづらそうに、寂しそうに呼ぶの。