血の記憶
「連絡って、どうやって?翔真ケータイ持ってなかったんじゃなかったの」
確か前女の子に聞かれたときそうやって断ってた気がするけど。
「あぁ、それ体よく断るときの翔真が使う嘘だよ」
「そうそう、翔真ってば愛想は良いくせに妙に壁作っちゃってる。あれを乗り越えた子だけ翔真の特別になれるんだろうねー」
祐樹と中崎さんが口々に口を開く。
特別、ね……。
そんなのになろうとは思わないけど、涙を見たくない。
あの人が泣く姿は私から見てもとても悲しそうだったから。