血の記憶





あぁ……、やっぱり。


最悪だ。



「ってか私のこと中崎さんじゃなくて香奈でいいよ!私も奈央って呼んで良い?」



え、奈央………?


なんか女子にそうやって呼ばれるの久しぶり。


中学の時は仲が良い子がいたけど途中から話しかけてくれなくなったから。



「えっと、やっぱりだめ、かな?」



一瞬お母さんの顔が脳裏をよぎった。


別に、名前ぐらい大丈夫よね?


少し躊躇いながらも



「大丈夫よ。私も香奈って呼ぶから」



なんて言ってみせると暗かった顔が一気に明るくなった。




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