血の記憶
「俺らが話しかけたときはめんどくさそうな顔しかしなかったのに……」
「………そんなことない。ちょっと迷惑だなって、それだけ」
「ひ、ひどくない!?」
私の言葉に絶叫する祐樹を見て大笑いする香奈。
この二人が揃うと無駄に賑やかね。
「そんなことより翔真のところに行くんでしょ?」
私はこんなのさっさと終わらせたい。
その一心で声をかける。
「あ、そうだった!じゃあ出発ー」
私が行ったら多分追い返されるからアパートの前で待っていたら大丈夫よね。
頭の中で翔真の家に着いたときのシュミレーションしながら先を歩く祐樹の後を着いていった。