SMIWWER


「ねえ?スポーツクラブの会員にならない?」


母親がチラシを見ながら言った


「なんで?」


突然そんな事を聞いてくるので瑞波は不審がる


確かに中学の部活を引退してからは
受験モードだったから運動してなかったけど


目に見て分かるほど 太ったのだろうか


「いやぁ、凪(ナギ)が このスポーツクラブのスイミングクラスに通うっていうから」


凪は2つ下の弟だ


水泳部だが 中学は外プールなので
オフシーズンは泳げない


だからスイミングクラスに入りたい


たしかそんなことを言っていた気がする


「家族割引っていうの?
安くなるらしくって!1人会員がいると割引が適用されるんだけど 2人いると
3人目がそれよりも更に安くなるの!」


早口で興奮気味に話す


「つまり自分もスポーツクラブの会員になりたいわけね」


「そう!」


いくら3人目が安くなるからといっても
人数多い方がトータルで支払うお金は増えるのに


‘‘得”という言葉にまんまと踊らされている


「吹奏楽始めたんでしょう?
腹筋つかうわよー?鍛えた方がいいと思うんだけど」


瑞波を丸め込むための口実なのがバレバレだ


高校生からは一般会員になれる
ジムもスタジオもお風呂も使い放題だ


もちろんプールも


もともと体を動かすのは好きだし
太りたくないとも思っている


ストレスの発散もできる


まあ いいかな


「そうだね
行きたい、楽しそうだし」




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