大人の恋の終わらせ方
「…社長、(株)九条の秘書の方がお見えになっていますが、どうされますか?」

「…お通しして下さい…あまり時間は取れませんが、と伝えてもらえますか?」

「かしこまりました…」

受付からの内線を切ると、榊はため息をついた。

「…はぁ…」

面会のアポなしに秘書の九条 綾子が、榊を訪れ始めたのは3ヶ月前の事だ。

「…すごい執念、いや怨念…?」

独り言を呟いていると、社長室の扉が開いて綾子が入って来た。

「…どうも、今日はどういったご用件でしょうか?」

「そんなの決まってるじゃない…あの男はどこにいるのかしら、榊さん…」

綾子はソファーに座り、ミニスカート姿で脚を組むと上目使いに榊を見た。

…今日は色じかけの日ですか…と、榊は心の中でため息をつくと、膝かけを綾子に手渡した。

「…何度来て頂いても、お答えする事は出来ません…社長…いえ、静時君から口止めをされているので…」

教えたら、私とも連絡を絶つと脅されているのでね…とは榊の事情なので、口には出さずに答えた。

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