大人の恋の終わらせ方
「…そう、なら、うちの会社との関係もあやしくなるわね…と言ったら?」

「そうですね…そのたぐいの脅し文句を15回ほど聞いてしまうと、あまり効力がなくなりますね…」

榊は向かいのソファーに座ると、そう答えた。

「…じゃあ、どうしたらあなたは教えてくれるのかしら…?」

綾子は立ち上がって、榊の隣に体に触れるように座るとたずねた。

「はぁ…今度は泣き落としですか?」

「はぁ?泣いてなんかいないわよ?!」

「泣いていますよ…むしろ私が聞きたいです…どうして静時君の居場所を知りたいんですか?」

榊は、さりげなく綾子と間隔を置くと、真面目にたずねた。

「それは…」

口をつぐんでうつむいてしまった綾子を見て、榊は言葉を続けた。

「…内容次第では、お教えしない事もないですよ?」

「え?」

「場合によっては、協力してもかまいませんし…そろそろ教えて頂けませんか?静時君に会って、どうするおつもりなのかを…」

「…」

綾子はしばらく考えた後、キッとクールな瞳で榊を見ると話し始めた。
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