大人の恋の終わらせ方
「…榊社長、あなたは今、おいくつですか?」

「はい?私ですか?私は44ですけど…」

「私は今年で31になります…これがどういう意味か分かりますか?!」

「はい?」

「行き遅れたんですよ!あの男のせいで!!」

「あぁ…」

榊は綾子の必死な瞳を真正面から見ると、すべてを理解した…

「…分かりました」

「本当?!」

「ええ…」

鳴海 静時と政略結婚をするハズだった、元婚約者の願いを聞き入れると、榊は協力する事にした。





「…あ、榊さん、今よろしいですか?」

「はい…社長」

「…社長は、榊さんですよ?」

電話の向こうから、くすっと笑う気配がして、榊は背筋を伸ばした。

「完全にバレているとは思いますが、今日はすみませんでした!居場所を綾子さんに教えてしまった事、深くお詫びします…」

榊は謝罪すると、電話の向こうの鳴海に頭を深々と下げた。

「あぁ、その事でしたら、いずれまた…それより綾子さんは、どうされましたか?」

…いずれまた…という事は、あっさり許す気はないという事か…と心の中でため息をつくと、榊は答えた。

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