君が嫌いで…好きでした
悲劇は本当に突然訪れた
それは私がお風呂を上がった頃…
お風呂を上がった私は部屋に戻りゲージからチョコを出そうとゲージに近づいた時だった
千菜「チョコ…?」
ゲージの中で丸まって動かないチョコ
その体は微かに震えていた
いつもなら近寄ってくるのにその様子に私は嫌な予感がして慌ててゲージからチョコを出した
千菜「チョコどうしたの…!?なんで…動かないの!?」
鼓動が弱い…まさか死…?
千菜「そんなっ…やだよチョコ…!どうしよう…誰か…」
また…誰かが死ぬのは…いや!
その時ケータイがなった
奏叶からの着信だった
私は慌ててケータイに出た
奏叶「あ、千菜明日なんだけど良かったら…」
千菜「奏叶…助けて…」
奏叶「千菜泣いてるの…!?何かあったの!?」
千菜「…チョコが…動かないの…!」
奏叶「チョコが!?千菜落ち着いて。今からそっちいくから待ってて!」
電話はそこで切れた
こんな時でさえ私は何も出来ず泣くことしか出来ない
千菜「チョコ…っ…」
そして電話から5分経たないうちに奏叶が来た
奏叶「千菜!」
千菜「奏叶…っ…チョコが…」
奏叶「千菜大丈夫だから。チョコ温かくしてあげて。病院に連れていこう」
千菜「…うん…っ」
チョコに小さな毛布を何枚もくるんで、奏叶が乗ってきた自転車の後ろに乗せてもらってすぐに近くの動物病院に向かった
向かってる間も奏叶は私にずっと大丈夫って声をかけてくれた
動物病院―――…
先生に見てもらっている間もずっと祈り続けた
どうかチョコが死にませんように
祈る事しか出来なかった
先生「寿命が近いようです。最後残った時間を大事に一緒に過ごしてあげてください」
それでも…祈っても…現実は重くのしかかった
帰り道、自転車を引く奏叶の隣をチョコを抱きながら歩いた
言葉が出ない…
さっきの先生の言葉が頭から離れなくて不安だった
奏叶「…千菜……」
千菜「…ずっと一緒に居てくれたのに…ずっとチョコは側に居てくれて支えてくれたのに私は何もしてあげられない
私のせいでチョコが死んじゃう…」
苦しくて…不安で怖くてどうしようもなかった
死という言葉が本当に嫌いだった
奏叶「…千菜のせいじゃないよ。命あるものはいつかは死んでしまう。それは誰がどう頑張ったって変えられない。
だから残ってる少しの時間を俺達はチョコの為に使ってあげようよ
それが今の俺達に出来る事だから」
千菜「…うん…!」
星空輝く空の下で流れる涙と一緒に私は誓った
いつか寿命が来るのは始めからどこかで分かっていたこと…
チョコの為に私が出来ること…最後のその時まで…
千菜「チョコの側に居るからね…」
奏叶「…俺今日泊まってもいい?明日休みだし千菜とチョコの事も心配だからさ」
千菜「うん…ありがとう奏叶…」
奏叶が居てくれたから…私は真っ直ぐ立つことが出来るんだよ…
こんな夜にも駆けつけてくれて…本当にありがとう…