君が嫌いで…好きでした
…こんなはずじゃなかった
七瀬奏叶がずっと話しかけてきたから気が緩んだんだ…
本当は関わっちゃいけない事を忘れていた
殺すつもりなんかない
でも関われば必ず七瀬奏叶も死んでしまう
それじゃ…私が殺したと変わらない
どうしてなの…
こんなの…もういや…
私だって普通に生きたい…
でもそれが駄目だから必死で気持ち押し殺してやり抜いて来たのに…!
コートも…ありがとうって返したかった
奏叶「見つけた千菜」
七瀬奏叶!まさか追いかけて来たの!?
これ以上関わっちゃ駄目だって気持ちが大きくなって私は逃げようとした
だけど気づいたら七瀬奏叶の腕の中に居た
*湊*
ガヤガヤと未だに外野がうるさい
まさかあのかながあいつの事好きだなんてな
おまけに殴られるとか…俺情けねぇな
「湊くん…大丈夫…?」
近くの女の子達が心配してくれた
湊「これくらい平気だよ」
笑顔で返した
かな…あいつだけは俺は認めない
さーてこれからどうしようかな…
――……とくん……とくん……
この音はなに…?
誰も居ない図書室
外では白い雪が降り積もる寒い冬のはずなのに温かく感じるのはなんで…?
この状況は一体なに…?
今…私もしかして七瀬奏叶に抱き締められてるの?
そこでようやく私は理解した
千菜「…離して!」
だけど七瀬奏叶はもっと強く抱き締めて離そうとしない
抱き締められる感覚
人のぬくもり
胸がなぜか苦しくなった
千菜「……離して…っ」
さっきよりも弱々しい声…
涙が出そうなのを必死でこらえた
奏叶「離さない。千菜…聞いて」
七瀬奏叶は抱き締めたまま話し始めた
どうして…?
早く七瀬奏叶から離れなくちゃいけないのに…体がまるで凍ったみたいに動かない
奏叶「湊が千菜に酷い事言ったのは悪かった
謝るよ……ごめん…
でも湊もきっと俺の事を思って言ってくれたんだ。だから許してほしい」
七瀬奏叶の少し悲しそうな声がすぐ近くで聞こえる
千菜「…分かった…!分かったからもう離して…」
奏叶「…嫌だ。やっと捕まえたよ千菜」
え………?
千菜「…な…何言ってるの…?離してってば!」
奏叶「やだ。千菜はずっと俺の事避けてる」
千菜「当たり前でしょ!
私はもう…誰とも関わりたくないの!」
奏叶「…ずっとそうやって自分を犠牲に皆の事守ってきたの?」
なに…この胸に何かが突き刺さったような違和感
奏叶「…ずっと1人で居たのもずっと俺を突き放そうと苦しそうな顔で酷い事を言ったのも千菜が誰よりも一番噂を恐がり必死で守ろうとしてたからだろ?」
どうして?どうしてこの人は…私の気持ちを知ってるの?
誰にも話した事ないのに…
皆噂を聞いて私を見るだけで恐がり逃げていった
こんな人…今まで居なかった
涙が…溢れそうだった