君が嫌いで…好きでした

凜ちゃんが事故にあってから数日が数日が過ぎた




奏叶「湊帰ろうぜ」



湊「悪い。またこのままバイト行くから。じゃぁな!」


授業が終わって一緒に帰ろうと声をかけたけど、湊は慌てた様子で帰る準備をして教室のドアの方に向かった


千菜「湊!気を付けてね」


湊「おう!」


奏叶と一緒に帰る帰り道…


奏叶「湊の奴ここんとこ毎日バイトだな」


千菜「うん…」



凜ちゃんが事故にあってからというもの湊は学校が終わるとすぐにバイトに行くようになった。しかも毎日…

最近では美容師の仕事に興味を持つようになったらしくてバイトが終わった後に凜ちゃん直々に教えてもらってるみたい

毎日行くようになったのは湊の意志だけど凜ちゃんのフォローも毎日頑張ってるみたい

駿府城公園で会った時には凜ちゃんに突っかかるような態度だったのに今では密かに信頼しているみたい


鈴村先生は仕事が終わると凜ちゃんの所に直行。溜まった仕事も凄い勢いで片付けて定時で帰れるようにして凜ちゃんを側で支えているみたい


他にも変わった事が1つ…
それは私自身…気を付けてねと声をかけるようになったこと

奏叶達が側にいてくれるから気持ちは安定しているけどハッキリ不安が消えたわけじゃない
クラスメイト、鈴村先生に凜ちゃん…私の回りでこれだけの不幸が起こったんだから不安が消える訳もない…

奏叶も湊も私の気持ちを分かってくれてるみたいで何も言わないけど、私が気にしないようにしてくれてるように感じる…


そして気づけば私の家まで着いていた


奏叶「今更だけど今日は俺ん家に来る?千菜もまだ不安だろうし泊まってくれると俺も安心する。……千菜が俺達の心配をしてくれるように俺だって千菜の事心配だからさ」


千菜「…ううん、今日は遠慮しておく
心配してくれてありがとう」


いつも奏叶に甘えちゃうのも駄目だから…


でも奏叶は少し寂しそうに手を握ってきた
突然だったから少し驚いた


千菜「奏叶?どうしたの…?」


…なんだか捨てられた子犬みたい
こんな奏叶珍しい…付き合ってから何ヵ月か経つけど、こうやって手を握る事もあんまりなかったな…
暖かくて…大きな手…安心するな…


奏叶「千菜」


奏叶に名前を呼ばれて反射的に顔を上げると奏叶の顔が近くにあってびっくりした
そしてその瞬間に奏叶は私の額に軽くキスをした


奏叶「おやすみ」


奏叶はそれだけ言うと帰っていった
1人残された私はキスされた額に手を当てながら奏叶の背中を見送った


いつも…そんなに大胆な事しないのに…
気を付けてって言うの忘れちゃった…



――――――…

早歩きで家路を歩く
やってしまった…やってしまった…
千菜あんなことされて驚いただろうな…


でも千菜が可愛くて思わず…


ヤバイな俺…
最近は俺ん家に泊まることも多かったから離れるのが無償に寂しく感じて…それに千菜あんまり俺の事意識してない気がして…

ゆっくり千菜のペースに合わせようと思ってたのに…俺、意外と余裕ない…



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